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発達と支援 胎児期〜幼児期 全10巻

DVD各巻:一般販売・ライブラリー価格:60,000円(税別)
各巻約30分
発達と支援胎児期〜幼児期

 人間はどのように発達していくのでしようか。発達を研究することは人の成長を知ることであり、心を理解することです。特に、子どもの発達には人の成長の興味深い特徴や面白さを見ることができます。子どもは、周囲の様々な支援のもとで発達を成就し、真の自立と生きる力を獲得していきます。中でも、胎児期から乳幼児期までの発達とその支援は、後の発達に大きな影響を及ぼすことから重要といえます。
 本作品は、生涯発達過程に於ける胎児期から幼児期までの発達の様相や特徴、支援の原理やあり方について最新の知見に基づいて解説する映像教材です。



生涯にわたり発達し続ける条件の解明を求めて

田島

白百合女子大学 教授 田島 信元

 人は、生まれながらに生物学的特性を持つ存在ですが、生存する生活世界の様々な要因に強く影響を受けて、文化を取り込み、かつ、改革していく形で発達していく社会的存在でもあります。とりわけ、社会、文化に一体化していく過程では、"他者との積極的な関わりのなかで生起する共同行為の過程で最大効率の学習が成立する"ことが分かってきました。つまり、人が他者と関わりながら生活する限り、生涯、学習・発達し続けていくということが示唆され始めたのです。その意味では、人は学習能力を駆使すべく、自ら、積極的に他者や社会に関わっていく存在であり、他者や社会からの支援を受けて初めて、発達 していく存在といえます。しかし、支援は、個人にとってポジティブなものばかりとはいえず、特に、児童期以降は、社会的に規定された発達課題に順応することを強く求められ、苦境に陥ることも多いのです。
 現代心理学「発達と支援」シリーズは、生涯発達の基盤づくりを達成する胎児期から幼児期、発達課題に規定された生活世界の中でたくましく生き抜く児童期から高齢期までの人間の心理的発達の理解、生涯発達を達成していく上で必須の条件となる社会、文化的な支援のあり方について、その特徴や様相を検証、解説する映像教材です。最先端の知見を分かりやすく示し、人間が生涯発達を遂げていく過程のダイナミズムに追ります。

1 発達の基盤づくりと支援の原理

田島 信元(自百合女子大学)

発達と支援胎児期〜幼児期1

 人間は、ヒトの生物学的特性である生得的能力としての「コンピテンス=人と関わりながら瞬時に学習していく能力」を基盤に、生誕直後から他者との共同(協働)活動を通して知的、社会的、情動的発達を遂げていく存在であるといわれます。他者との関わりは社会(異なる人々、集団)との関わりへと発展し、学習内容も変化してくることが発達段階を形づくることになりますし、人は、他者・社会と関わり続けるかぎり変化し続け、生涯発達へとつながることになるのです。そして、胎児期~幼児期は、生涯発達のなかでも、自力発達の基盤づくりの段階で、周囲の人々との関わりを活用して自力発達を発揮する体験を行う時期なのです。
 ここでは、以上のような発達の原理および生涯発達の過程における胎児期~幼児期の占める位置づけ、その発達の様相について総括的に解説するとともに、発達の個人差が生起する理由や発達障害児への対処を含む、支援の3モデルといった発達支援の原理についても言及します。

2 胎児・新生児の心の世界

井上 清文(聖心女子大学)

発達と支援胎児期〜幼児期2

 受精後23週1日の胎児も微笑することが明らかになりました。4次元超音波装置の誕生で胎児の生活ぶりが、目に見えるようになったからです。それに伴って胎児の様々な能力も分かってきています。新生児の心理も魅力にあふれています。赤ちゃんは、なぜあんなに"かわいい"のでしょうか?ヒトの赤ちゃんの特徴は何なのでしょうか。胎児が微笑しているということは、もう情動があるということなのでしょうか?脳はどのように発達するのでしょうか。胎教ってありうるのでしょうか。微笑といっても奥が深く、脳はさらに未知の部分だらけです。どのようなことが解明されているのか知ることは重要ですが、誤って理解されていることもまた少なくありません。
 胎児の脳はまだまだ未発達です。胎児が学習する、というように胎教をとらえているのなら、その可能性は高くないでしょう。ここでは、具体的な映像やデータに基づきながら、胎児・新生児の心理学的世界を解説していきます。さあ、胎児・新生児の世界へ。

3 胎児・新生児の育ちを見守る支援

高井清子(日本女子大学)

発達と支援胎児期〜幼児期3

 医学・生理学の目覚ましい進歩は、胎児の世界にも例外なく及んでいます。本来は安全で健康な出産のために胎児の発育状態を知ることを目的に行われてきた種々の検査ですが、これらの科学技術の進展は、今や子どもは"授かるもの"から"つくるもの"という意識を益々強め、"思い通りの子どもを産む"という指向は、今後更に強まっていくのではないかと思われます。このような社会風潮の中で子を産み育てなければならない親は、様々なストレスに晒されています。親も健康な子どもを産むことにできる限りの注意・努力をすべきですが、それと同時に周りも出産後の子育てを孤立させず、社会全体でなすべき「大切な仕事」と捉える発想を持ちたいものです。そうすれば子どもに限らず、一人ひとりの生命をかけがえのないものと考える成熟した社会に近づいていくことでしょう。
 ここでは、胎児期・新生児期における支援として、母親の生活のありかたや胎教の誤解など、現状を踏まえて解説します。

4 胎児の発達とコンピデンスの発揮

矢澤圭介(立正大学)

発達と支援胎児期〜幼児期4

 豊かな生得的能力(コンピテンス)を持って子どもは誕生します。外界に組織的な視覚的探索を能動的に行い、特に社会的刺激への志向性が目立ちます。大人の表情を模倣する共鳴動作を示し、大人の発声に同調して運動するのです。そして生得的な個性の違いを持って生まれます。乳児期では、このコンピテンスが物的環境、社会的環境に積極的に差し向けられ、養育者との基本的信頼感の形成、そしてそのモノがなくても頭に思い描く表象能力の獲得として、つぎの幼児期への準備がなされるのです。
 ここでは、まず「~すれば~なる」という「随伴性探知能力」が、物的環境に差し向けられ、どのように知的能力が構成されていくか、ピアジェ理論に基づいて跡づけます。また、その能力が社会的環境に差し向けられ、第1次相互主観性として養育者との間に情緒的絆が形成され、生後9ヶ月頃からモノに養育者とともに共同注意を向け、新たな第2次相互主観性、三項関係が成立していくことの意義をトマセロの文化学習論に基づいて考えます。

5 乳児の発達を支える母親のまなざし

大藪 泰(早稲田大学)

発達と支援胎児期〜幼児期5

 新生児期が終わりを迎える生後2か月頃、赤ちゃんの情動や認知は劇的に変化し、新たな発達段階を迎えます。母親(養育者)との出会いを促すように昼間に機嫌よく目覚める時間が増え、母親への微笑や発声が活発化し、物に手を伸ばして操作するなど、外界との豊かな交流が始まります。一見すると無力に見える赤ちゃんは、外界との交流を能動的に作りだし、人や物の世界を人間らしい心で理解できる有能な存在です。そして、そうした有能性を発揮するためには、他者との情動的な結びつきが不可欠であることが知られています。「大切なあなたがいてくれて嬉しい」というメッセージを伝える母親のまなざしと振る舞いは、赤ちゃんに安心感をあたえ、外界への探求欲求を育むがゆえに、赤ちゃんの心身の発達を支援する最も重要な働きをするものです。
 ここでは、乳児一物一人との関係を二項関係から三項関係への発達として捉え、乳児が人や物と関わる体験過程の変化を紹介しながら、母親(養育者)の行動には乳児の発達を支援する様々な仕組みが備わっていることを解説します。

6 幼児の認知発達と自己コントロール

宮下孝広(白百合女子大学)

発達と支援胎児期〜幼児期6

 幼児期の認知発達について知るうえでは、認知の仕組みの発達とその仕組みを使いこなす行動の発達とを分けて考える必要があります。例えば記憶について考えてみますと、短期記憶や長期記憶といった基本的な構造、およびその機能については、幼児期後期には、大入とほとんど変わらない状態になると考えられますが、一方で、それを使って実際にものを覚えようとすると、まだまだ大人のようにはうまくできません。きちんと覚えることができたのかどうか自分で把握することや、覚えるためにはどういうやり方で取り組めばうまくいくのかなど、メタレベルの認知が十分機能していないためです。つまり、人間の認知的行動は、それを支える認知的機構の発達のみによるのではなく、それをうまく働かせる知識や技能の獲得が必要となるのです。このあたりのアンバランスが幼児期の行動を理解するうえで重要と考えられますし、行動観察をしていて面白く感じられるところでもあります。
 ここでは、表象、記憶、概念の発達などについて、このような観点から見ていきます。

7 幼児の社会性の発達と人間関係のひろがり

園田菜摘(横浜国立大学)

発達と支援胎児期〜幼児期7

 幼児期は、母親、父親、きょうだいなどの家族関係を超えて、仲間関係や保育所・幼稚園などでの保育者との関係など、対人関係が広がりを見せる時期です。その対人関係の中でコミュニケーションスキルが身に付き、様々な関わりや遊びの経験を重ねることで、社会の中で生きていくために必要な基本的な社会性や情動が発連していきます。さらに、親しい他者との関わりを通して、子どもは自分自身を見つめ、自己意識や自分の行動を統制するための能力が発達していきます。その際、子どもは社会的な経験を一方的に受け止めるだけの存在ではなく、自分自身が社会的な経験をつくり出す担い手にもなっています。
 ここでは、幼児期の子どもが周囲の人と関係を広げていく様子に焦点を当てながら、他者との関わりが遊び、自己意識の発達にどのようにつながっていくのかを見ていきます。また、自己統制能力が幼児期にどのように形成されていくのかについて、言語能力や認知能力の発達とも連動させながら具体的に取り上げていきます。

8 幼児の言語発達とコミュニケーションの深化

上村佳世子(文京学院大学)

発達と支援胎児期〜幼児期8

 幼児期は、家庭や園、近隣などの場面のなかで様々な他者と出会い、認知面や社会面などの経験を広げていく時期といえます。
 ここでは、そうした他者とのコミュニケーションを媒介する言語の発達を見ていきます。言語獲得の理論、言語発達過程、言語の機能としてコミュニケーションと思考について概説するとともに、子どもが言語を獲得する際に、養育者をはじめとする周囲の他者がどのような支援を提供するかについても触れます。さらに、幼児期の子どもを取り巻く他者が、子どもにどのようなコミュニケーション環境を提供しているか、また子どもはことばを媒介にしてそれぞれの生活場面にどのように参加し他者との相互行為を重ねながら、周囲の世界の理解と関係づくりをしていくかについて日常の具体的な事例を挙げ、そこから子どもの発達にことばの果たす役割について考察します。

9 乳幼児期の保育実践の原理と展開

高橋貴志(自百合女子大学)

発達と支援胎児期〜幼児期9

 就学前保育施設(保育所・幼稚園)において、子どもは周囲の環境(人・物・場・空間)に主体的に関わりながら様々なことを学んでいきます。その学びを通して子どもの発達を支援するために、保育者は日々子どもの姿を記録し、保育のねらい(目標)を設定し、子どもの生活環境、遊び環境を構成します。そして、子どもの自己選択・自己決定の機会を十分に保障しながら、子どもの活動を援助します。さらに、1日の保育が終了後、保育者は今日の子どもの姿や環境構成などについて振り返り、保育者同士が意見交換をしながら明日の保育に向けて、計画を練ります。
 ここでは、ある保育所の保育の様子を通して、「子どもの主体的活動を保育者が援助するとは具体的にはどのようなことなのか」について、"子どもが集中して遊べる環境""保育者の願いが込められた環境""人的環境としての保育者""「遊びを援助する」と いうこと""保育におけるねらいと評価"、の5つの視点から紹介していきます。

10 乳幼児期の発達障害とその支援

秦野悦子(白百合女子大学)

発達と支援胎児期〜幼児期10

 ―対―だと問題はないのですが、集団の場では目立ってしまう子、誰でもわかるようなことが理解できず保育の場で混乱してしまう子、落ち着きがなく集中できない子、などの中に発達障害児が含まれる可能性があります。発達障害児は知的障害がないために、集団生活でみられるような様々な不適応が、わがままとか、しつけが悪いとか受け取られることが多く、そのため問題が複雑化する場合があります。また、落ち着きのなさやこだわりが、子どもが育ってくる中での発達の問題から出てくる行動であることを見過ごしてしまうことがあります。初めて集団生活を過ごす、幼稚園や保育所は発達障害児の支援の入り口にあります。知的な遅れはなくとも、その子どもが、周りの世界をどのように理解し、どのように感じ取っているのか、を知ることは支援の第一歩です。
 ここでは、乳幼児期の発達障害児の特性に合わせて、遊びや生活を通した支援はどのようになされるべきか、発達障害への理解と適切な支援のあり方を考えていきます。