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認知心理学DVD全10巻
現代心理学シリーズ

DVD各巻:一般販売・ライブラリー価格:60,000円(税別)
各巻30分
認知心理学パッケージ

 人は、目や耳などの感覚器官から環境について情報を入力し、それを選別、貯蔵、加工し、環境に適応するための行動という形で出力します。こうした高度なメカニズムを実証的・実践的に明らかにする科学が認知心理学(Cognitve Psychology)です。
 知覚、注意、記憶、思考、言語など認知の主要な研究対象をはじめ、社会的認知、動物の認知についても、最新の研究の知見に基づいて学んでいきます



「人間らしさ」を生み出すプロセス

高野一雄pdf

東京大学教授 高野陽太郎

 「人間らしさ」のもとになっているのは、高度な精神活動です。思いやりに溢れたボランティア活動も、グローバルな商取引も、最先端の科学研究も、みな精神活動の所産です。この「認知心理学」のシリーズでは、その精神活動がどのように行われているのかを調べます。
 以前は、人間の精神活動は、「魂」の神秘的な働きだと考えられていて、人間がどのようにして考えたり憶えたりしているのか、なぜ間違ったり忘れたりするのかは、まったくの謎でした。しかし、20世紀の半ばにコンピュータが登場すると、「コンピュータがしている情報処理と同じようなことなのだと考えれば、人間の精神活動も科学的に理解できる」ということが分かってきました。脳という物理的な器官がその情報処理をしていると考えれば、神秘的な「魂」を想定する必要もなくなります。
 そうした情報処理のプロセスとして人間の精神活動を理解しようとしているのが認知心理学です。このシリーズでは、環境についての情報を取り入れる知覚、重要な情報を選択する注意、保存する記憶、加工する思考、伝達する言語といった情報処理のプロセスを調べていきます。また、社会という環境の中で、その情報処理プロセスがどのように使われているのかも調べます。
 人間がしている情報処理は、長い進化の過程のなかで発達してきたものです。したがって、実は、人間以外の動物も、性質や程度の違いはあっても、記憶や思考といった情報処理をしているのです。最後に、そうした動物の情報処理を調べることによって、人間の情報処理をよりよく理解することを目指します。

1 認知心理学 〜そのプロフィール〜

高野陽太郎(東京大学)

認知心理学1

 認知心理学は、人間の精神活動を解明しようとする学問です。心理学全体を支える基礎になる分野でもあります。人間はどのように環境を認知し、どのように記憶し、どのように考えるのか、また、どのように言葉を使っているのか...。認知心理学は、こうした疑間に取り組んできました。20世紀の半ばにコンピュータが登場して、精神活動をコンピュータがしているような「情報処理」と考えると、うまく理解できることが分かりました。認知心理学は、記憶や思考などの認知活動を「情報処理」として研究することによって、目覚ましい成果をおさめてきたのです。
 この巻では、まず、認知心理学が研究してきた心理現象の具体例をいくつか紹介します。そのあとで、「情報処理としての精神活動」という考え方を学び、つづいて、認知心理学が精神活動をどのように研究してきたのか、その方法を概観します。最後に、実験例を一つ取り上げて、そうした方法が、どのような事実を明らかにすることに生かされているのか、具体的なイメージを掴んでいただきたいと思います。

2 知覚 〜情報の入カ〜

渡邊克巳(早稲田大学)

認知心理学2

 外界の物理的刺激は、感覚器官に受容された後、脳で様々な処理過程を経て主観的体験として知覚されます。入力としての物理的刺激と主観的体験としての知覚の間には一定の関係性はあるものの、物理世界と知覚世界は必ずしも一対―に対応しているわけではありません。このために間違いや錯覚などが生じます。なぜこのような関係になっているのでしようか?
 この巻では、知覚の中でも視覚に焦点を当て、明るさ・色・形・運動・奥行きの視知覚の例や錯視を題材とした例をいくつか紹介します。「見る」ためには非常に早くて頑健な処理が行われている一方で、視知覚は基本的に人間(あるいは脳)が外界世界を不完全な情報に基づいて解釈あるいは推論するプロセスの表れであるために、様々な環境や知識によって大きく影響を受け、不安定で曖味なものにもなる点を理解してもらいます。また、知覚を支える神経基盤とそれらのモジュール性に関しても簡単に解説をします。

3 注意 〜情報の選択〜

高野陽太郎(東京大学)

認知心理学3

 人間の感覚器官(目や耳など)には、どの瞬間にも、膨大な量の情報が入ってきます。しかし、その大半は、あまり重要な情報ではありません。自然環境や社会環境にうまく適応して生き延びていくためには、入ってくる膨大な量の情報のなかから、重要な情報を選び出さなければなりません。これが注意の役割です。注意された情報は、深く処理され、物体として認知されたり、記憶されたり、思考の対象になったりします。そうした情報処理の結果は、適切な行動をとるために役立てられます。注意を向けることのできる情報の量は限られており、注意されなかった情報は、深く処理されないため、「見れども見えず、聞けども聞こえず」ということになります。普通は、注意を向けないと、情報処理は進まないのですが、頻繁に行なう情報処理は重要なことが多いため、注意を向けなくても、自動的に進むようになります。
 この巻では、注意にまつわる現象を体験したり、代表的な実験例を学びながら、注意の機能について理解を深めます。

4 記憶 I 〜情報の貯蔵〜

伊東裕司(慶應義塾大学)

認知心理学4

 記憶のはたらきに関する研究の歴史は100年を超え、記憶研究は認知心理学の中でも重要な領域と考えられています。本シリーズでも2巻が記憶に充てられていますが、その1巻目である本巻では記憶研究の基礎について概観します。
 この巻ではまず、記憶とは何であるのかについて概観したのち、「材料を覚えてもらい、ついでそれらを思い出してもらうことにより記憶の程度を測定する」という、今では「古典的」ともいえる基本的な記憶の研究方法について、具体例を示しながら見ていきます。また、記憶を情報の貯蔵庫とみなし、その貯蔵庫には長時間情報を蓄えるためのものと、短時間だけ情報を蓄えるためのものがあるとする認知心理学における代表的な記憶のモデルについて解説します。このモデルを巡って行われたいくつかの研究を紹介し、これらの記憶貯蔵庫がどのように使われるのかについて考え、また、モデルを作ることによりどのように研究が進んでいったのかについて見ていきます。記憶研究の基本を知るとともに、認知心理学の研究の進め方について理解することができます

5 記憶 II 〜実生活の中で〜

伊東裕司(慶應義塾大学)

認知心理学5

 私たちは日常の様々な認知的活動で記憶を用いており、そのはたらきの全容は、前の巻で説明した「覚えてもらった材料をのちに思い出してもらう」方法で捉えきれるものではありません。20世紀の終盤に、記憶研究者の間で、日常生活の中で実際に使われている記憶について研究しなければならないという機運が高まり、様々な記憶について多くの研究がされるようになりました。その中には、「これって記憶が関わっていたんだ!」と思うようなものもあります。
 記憶についての2巻目のこの巻では、記憶研究の長い歴史の中では比較的最近研究されるようになった、様々な記憶について見ていきます。また後半では、事件や事故の目撃者の記憶に焦点を当てます。目撃証言では、記憶の誤りが被疑者など関係する人々の一生を左右することにもなりかねません。目撃者の記憶がどの程度信頼できるのか、どのような事態が目撃者の記憶を歪めてしまうのかなどについて考えます。記憶の心理学的研究力がいかに人々の日常生活と関わっているのか、いかに社会の役に立ち得るのかについて、洞察を深めることができます。

6 思考 I 〜問題解決と推論〜

服部雅史(立命館大学)

認知心理学6

 私たちは、何か問題が発生したとき、どうやって解決するのでしょうか。なかなかよいアイデアが浮かばないのはなぜでしょうか。なぜ論理的に考えて答えを導き出すことができないのでしようか。問題解決や推論は、高次認知機能と呼ばれ、人間の認知の核心をなすものです。これは、ビジネスシーンや学校での試験といった特別な状況だけで必要とされる能力ではありません。例えば、旅行のプランを考える時や友達とおしゃべりをする時など、日常生活で誰もがあたりまえに行っている認知活動です。
 この巻ではまず、私たち、人間の問題解決の仕方の特徴について考えます。ヒューリステイックと呼ばれる方法は、問題を効率的に解決することを可能にしますが、同時に、解決を著しく困難にする場合もあることを見ていきます。次に、推論における知識の影響について考えます。知識が多いと、理解や推論が助けられることも多いのですが、逆に、知識に影響されて論理的な推論が妨げられることもあります。以上を踏まえて、最後に、私たち自身の合理性について考えます。

7 思考 II 〜判断と意思決定〜

服部雅史(立命館大学)

認知心理学7

 日々の買い物から進路決定まで、日常生活は意思決定の連続です。ものごとを決める時、私たちはどのように考えているのでしょうか。意思決定は、単に、自分が最も満足できるものを選べばよいのですから、難しいことではありません。しかし、満足を最大化するということは、実は、私たちが思っているほど単純ではありません。私たち自身の好みや判断が、非常に複雑に、しかも自覚なしに変わるからです。
 この巻では、まず、効用について考えます。効用とは、主観的な満足度や嬉しさであり、意思決定の最も重要な要因です。様々な心理的要因によって、効用が大きく影響されることを見ていきます。次に、意思決定のもう一つの重要な要因、確率判断について考えます。選択肢に不確定要素があるとき、ものごとがどれくらいの確かさで起こるかを見積もる必要がありますが、私たちの確率判断は、様々な要因によって歪められます。最後に、私たちの意思決定が、文脈や感情といった本人の好み以外の要因によってどう左右されるかを見ていきます。よい意思決定とは何か、幸福感とは何かについて、考えを深めることができます。

8 言語 〜情報の伝達〜

田中章浩(東京女子大学)

認知心理学8

 人間は言語を使って他者とコミュニケーションしたり、情報を伝達したりすることができます。言語はとても高度で複雑ですが、私たちは苦もなくそれを理解し、産出することができます。普段は意識しませんが、その背後には音声や文字の知覚、単語の認知、文の理解、文章の理解など、様々なレベルでの認知メカニズムが関わっています。
 この巻では、まず、ことばの入口ともいえる知覚のメカニズムについて、断片から全体像へと至るボトムアップ処理と、文脈や知識を用いてことばを知覚するトップダウン処理に分けて、分かりやすく概説します。続いて、言語の理解について、単語、文、文章の各レベルに順次着目し、実例や実験を交えて解説していきます。また、コミュニケーションを全体的に見渡した場合、言語情報のみならず、非言語情報が果たす役割も無視できません。最新の知見を取り入れつつ、非言語情報のコミュニケーションについても解説します。

9 社会的認知 〜人を認知する〜

岡 隆(日本大学)

認知心理学9

 私たちにとって、他の人間、その人間から構成される社会的集団、その人間が関わって生じる社会的事象は、私たちを取り巻く環境のなかでも最も重要な要素です。私たちが、これらの対象をどのように知覚し認知し判断するかは、私たちのその後の思考や感情や行動に大きな影響を及ぼし、私たちの対人行動や人間関係や集団活動などの社会的生活がどのように営まれるかを規定しています。私たちは、相手の所属する集団や相手の性格について人づての情報に接して、その人に会う前から、その人がどういう人か分かっています。私たちは、相手に会うと、その外見からその人がどういう人かを即座に判断します。私たちは、相手の言動をつぶさに観察して、その人がどういう人かを見極めようとします。私たちは、相手とのやりとりを通して、その人に対する最初の見方や考え方を強くしていったり、あるいは、変えていったりします。私たちは、このような社会的認知とそれに基づく行動を日々営んでいるのです。
 この巻では、そのメカニズムを検討するとともに、私たちが陥りやすい社会的認知のバイアスについて解説します。

10 動物の認知 〜適応の手段としての認知〜

藤田和生(京都大学)

認知心理学10

 ヒトは動物界において際だって豊かなこころを持ち、他の動物たちとは一線を画した特別な存在であると私たちは考えがちです。確かに言語を用いてコミュニケーションするのは地球上ではヒトだけですし、コンピュータなどの複雑な道具を作り利用するのもヒトだけです。本当に私たちヒトのこころは他の動物たちから隔絶した、特別なものなのでしようか。近年、比較認知科学という領域で、動物たちのこころの研究は飛躍的に進歩し、ヒトに見られる様々な機能が、実は動物たちにも備わっていることが明らかにされてきました。動物たちは、様々なことを学習し、思考し、判断して生きているだけではなく、ある程度は自身のこころの中を覗くこともできます。被雑な感情を持ち、他者を思いやったり妬んだりすることもあります。その一方で、環境に対する認知の仕方には大きな種差もあることも分かってきました。
 この巻では、動物のこころを知ることの意義とその研究法、及び最新の成果について学ぶヒトのこころについてもう一度考え直します。